はじめに
「解き直しはさせているんですが、なかなか点数が上がらなくて……」
先日の三者面談で、こんな声をいただきました。
うなずきながら聞いていましたが、実は・・・・。
「それは、解き直しの"やり方"が問題なんです」
頑張っている。時間もかけている。でも、成績が変わらない。
そんな状況が続いているとしたら、原因は量ではなく方法にあります。
模試はうまく使えば、最強の学習ツールになります。ところが、やり方を間違えると、どれだけ解き直しをしても成績はほとんど動きません。
では、何が違うのか。
成績が伸びる子は、解き直しの"前"にあることをしています。答え合わせでも全問復習でもなく、問題を「今やるべきもの」と「今はやらなくていいもの」に仕分けることです。
この記事では、今日の三者面談でもお伝えした内容をもとに、次の3つを解説します。
- なぜ解き直しをしても成績が上がらないのか
- 成績が伸びる子の「模試の使い方」
- 保護者がすぐに試せる声かけ
模試の結果を、次の一手に変えたい方はぜひ最後まで。
模試の解き直しで「やってはいけない」3つのNG行動
解き直しをしているのに成績が上がらないとき、たいていこの3つのどれかに当てはまります。
NG① 答えを見て「わかった気」になって終わる
解き直しあるあるの、最も多いパターンです。
答えを確認して「あ、そういうことか」と納得する。ノートに正解を書き写す。そして終わり。
でも、これでは点数は上がりません。
「わかる」と「解ける」は、まったく別物だからです。
次のテストで同じ問題が出たとき、自分の力で解けるかどうか。それが本当の意味での「理解」です。
解き直しのゴールは「正解を知ること」ではなく、「次に自分で解けること」です。
NG② 全問を均等に解き直そうとする
真面目な子ほど、間違えた問題をすべて解き直そうとします。
気持ちはよくわかります。でも、これは時間対効果がとても悪い。
模試の問題には、今の自分の実力で取れる問題と、取れない問題が混在しています。両方を同じ温度で復習しようとすると、時間が足りなくなるか、どれも中途半端に終わります。
解き直しに必要なのは「選別」です。全部やろうとしないことが、実は成績を上げる近道です。
NG③ 「その日のうち」に全部終わらせようとする
返却された日に一気に解き直す。達成感はあります。でも、記憶への定着はほとんどありません。
人間の記憶は、一度やっただけでは残りません。時間をおいて繰り返すことで、はじめて定着します。
解き直しは「1回やって完了」ではなく、日をまたいで2〜3回確認することがポイントです。
成績が伸びる子は「解き直し」の前に必ずこれをやっている
NG行動の正体がわかったところで、次は「正しいやり方」の話です。
成績が伸びる子が解き直しの前にやっていること。それは「ミスの分類」です。
間違えた問題を「3種類」に仕分ける
模試で間違えた問題は、必ず次の3種類のどれかに分類できます。
| 種類 | 内容 | 対策 |
|---|---|---|
| ケアレスミス | 知っていたのに間違えた | 見直し習慣をつける |
| 概念の未理解 | そもそも内容を理解できていない | 基礎から学び直す |
| 演習不足 | 理解はしているが慣れていない | 類題を繰り返し解く |
この3つは、対策がまったく違います。
ケアレスミスなのに基礎から学び直しても意味がありません。演習不足なのに見直しを強化しても変わりません。
まず「なぜ間違えたか」を1問ずつ言語化する。これが、論理的に成績を上げる第一歩です。
「どこで詰まったか」を自分の言葉で説明できるようにする
「なんとなく間違えた」「なんとなくわからなかった」——この感覚のままにしておくと、同じミスを繰り返します。
大切なのは、自分の思考のどこが止まったかを言葉にすることです。
たとえば、数学の文章題を間違えたとき。
- 式は立てられた → 計算ミス → ケアレスミス
- 式が立てられなかった → 公式が曖昧 → 概念の未理解
- 解き方はわかった → 時間がかかった → 演習不足
この3ステップで考えるだけで、次にやるべきことが自然に見えてきます。
「なんとなく」をなくすこと。これが、論理的に勉強するということです。
模試の結果から「次の1週間の勉強計画」を逆算する
模試は終わった過去ではなく、次への地図です。
ミスを分類したら、優先度の高い単元から順に「いつ・何を・どれだけやるか」を決めます。
感覚で「なんとなく苦手なところをやろう」ではなく、データをもとに計画を立てる。これが、勉強の質を大きく変えます。
保護者ができる「模試返却後の正しい声かけ」
お子さんが模試を持ち帰ったとき、最初に何を聞いていますか?
「何点だった?」「偏差値はどうだった?」
気になるのは当然です。でも、点数だけを聞いてしまうと、子どもは「結果を評価された」と感じます。次につながる会話になりにくい。
点数より先に聞くべきこと
返却後に、ぜひこの一言を試してみてください。
「どの問題が惜しかったと思う?」
これだけで、子ども自身が自分の結果を振り返るきっかけになります。
親が正解を教える必要はありません。「なんで間違えたと思う?」「次はどうする?」と問いかけるだけで、子どもの思考は動き始めます。
答えを与えるより、考える習慣をつける声かけのほうが、長い目で見てずっと効果的です。
「見せて」と言うだけで意識が変わる
もう一つ、シンプルだけど効果的な方法があります。
「模試、見せて」と声をかけること。
親に見られるとわかると、子どもは自然と結果と向き合います。一緒に問題をのぞき込まなくていい。「どうだった?」と聞かなくていい。ただ「見せて」と言うだけで、子どもの意識は変わります。
模試の解き直しは「全問やらなくていい」——優先順位の決め方
最後に、今日の三者面談でとくに時間をかけてお伝えした話をします。
それは、「落としちゃいけない問題だけを解き直す」という考え方です。
模試の結果は「今の実力」をそのまま映している
模試の点数は、合否の判定だけではありません。お子さんの今の学力を、正確に映し出しているスナップショットです。
だからこそ、返却後の使い方が、その後の成績を大きく左右します。
問題を2種類に仕分ける
模試の問題は、大きく2種類に分けられます。
① 「落としちゃいけない問題」 今の実力なら正解できるはずだったのに、間違えてしまった問題
② 「落としていい問題」 今の実力では、まだ届かない難しい問題
今日の三者面談でもお伝えしたのですが、多くの生徒が②の問題に時間をかけすぎています。難しい問題に挑戦すること自体は良いことです。でも、①がおろそかになっては本末転倒。
今の実力で取れるはずの問題を、確実に取れるようにする。これが、点数を上げる最短ルートです。
「落としちゃいけない問題」だけを徹底的に復習する
仕分けができたら、あとはシンプルです。
①の問題だけを、徹底的に解き直す。
全問やろうとしない。難しい問題に手を出さない。今の自分のレベルに合った問題を、確実に「次も解ける状態」にする。
これだけで、模試の点数は着実に上がっていきます。
成績を上げるのに、特別な才能は必要ありません。今の自分に合った問題を、正しく繰り返す。それだけです。
まとめ|模試の解き直しで本当に大切なこと
この記事でお伝えしたことを、最後に整理します。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| ① 分類する | 間違えた理由を「ケアレス・未理解・演習不足」の3つに仕分ける |
| ② 絞り込む | 「落としちゃいけない問題」だけを解き直す |
| ③ 繰り返す | 日をまたいで2〜3回確認し、定着させる |
解き直しで大切なのは、量より分析です。
「なぜ間違えたか」を丁寧に言語化して、「今の自分に必要な問題」だけに集中する。その積み重ねが、確実に成績を動かしていきます。
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執筆者
京大個別会原町本校 塾長 佐藤晃大