はじめに
「先生……また判定、下がりました。」
返却した模試を見つめたまま、その子はしばらく黙っていました。
頑張っている。ちゃんとやっている。それでも結果が出ない。
受験生にとって、これほど苦しいことはありません。
でも私は、こう伝えました。
「その判定は、今は気にしなくていい。」
これは慰めの言葉ではありません。根拠のある話です。
模試の判定は、現時点の受験生全体との比較に過ぎない。
そしてあなたの受験勉強は、まだ仕上がっていない範囲のほうが多い段階。
仕上がっていないのに、判定が上がるわけがないのです。
今の判定が低いのは、むしろ計画通りである証拠かもしれない。
この記事では、次の2つを論理的にお伝えします。
なぜ今の判定を気にしてはいけないのか
判定の代わりに、何を分析すればいいのか
E判定からでも合格できる。その理由を、一緒に考えていきましょう。
模試の「判定」に一喜一憂してはいけない理由
判定はあくまで「今この瞬間のスナップショット」に過ぎない
模試の判定が示しているのは、「今日この瞬間、全国の受験生と比べたときの位置」 だけです。それ以上でも、それ以下でもありません。
ここで見落としがちな事実があります。
模試は全員が同じ仕上がり状態で受けるわけではない、ということです。
夏休みに集中して仕上げてきた子
まだ本格的に始めていない子
すでに全範囲が完成している子
この全員が混ざって受けているのが模試です。
つまり判定が低くても、それはあなたの「最終的な実力」を示しているわけではありません。今日時点の話に過ぎない。
入試本番まで、あなたはまだ成長し続けます。10月のE判定が、12月にはB判定になることは珍しくありません。正しい計画で動いた結果として、それは起こります。
判定は「今の自分がどこにいるか」を示すものであって、「合格できるかどうか」を決めるものではないのです。
勉強の進行具合によっては、今はまだ判定が上がらなくて正常
受験勉強には「順番」があります。
① 基礎固め → ② 応用 → ③ 演習 → ④ 過去問
この流れで進めるとき、①②の段階では模試の点数は上がりにくい。なぜなら、模試の問題は③④レベルが中心だからです。
基礎を固めている最中に、応用問題が解けなくて当然。むしろ、この段階で点が取れてしまうほうが不自然とも言えます。
今日の面談で、私はこう伝えました。
「今の君の受験勉強の進行具合では、まだ判定は上がらない。だから、そこを気にしていてはだめ。」
これは否定の言葉ではありません。
「今は基礎を固める時期だから、判定が低くて正しい」という意味です。
仕上がっていない範囲がある段階で判定を見ても、正確な情報は得られません。それより大切なのは、「仕上がった範囲で、ちゃんと点が取れているか」 を確認することです。
判定の代わりに「何を」分析すればいいのか
では具体的に、何を見ればいいのか。
答えはシンプルです。「すでに仕上がった分野・単元で、何点取れたか」 を確認する。これだけです。
「仕上がった分野・単元」で何点取れたかを見る
模試が返ってきたとき、多くの人がまず見るのは「合計点」や「判定」。でもそこで一喜一憂するのは、もったいない。
本当に見るべきは、自分がすでに勉強した範囲の正答率です。
【具体例:数学の場合】
たとえば「二次関数まで仕上げた」とします。模試に二次関数の問題が3問あって、2問正解できた。それは計画通りに進んでいる証拠です。
逆に、仕上げたはずの範囲が取れていなければ、そこを優先的に補強するサインになります。
この視点で模試を見ると、まったく違う景色が見えてきます。
| 見方 | 得られる情報 | 今の時期の重要度 |
|---|---|---|
| 合計点・判定を見る | 今の全体順位がわかる | △(今は意味が薄い) |
| 仕上がり範囲の正答率を見る | 計画が正しく進んでいるかがわかる | ◎(今はこちらが重要) |
判定に振り回されるのではなく、「仕上がった範囲で取れているかどうか」を冷静に確認する。これが、正しい模試の使い方です。
模試の結果を「現在地の確認」として使う
模試は「合否を決めるもの」ではありません。「今の自分がどこにいるかを確認するもの」 です。
地図に例えるなら、現在地を示すGPSです。現在地がわかるから、目的地までの道が見えてくる。
今の判定に落ち込むのは、GPSが示した現在地を見て「こんな場所にいたくない」と嘆くようなものです。大切なのは、そこからどう動くかです。
模試の結果で確認すべきことは、次の3つです。
仕上がった範囲は正解できているか(計画の精度を確認する)
間違えた問題の原因は何か(ケアレスミス・未理解・演習不足のどれか)
まだ手をつけていない範囲はどこか(今後の優先順位を決める)
この3点を確認するだけで、模試は「落ち込むもの」から「次の行動の指針」に変わります。
「残り期間で何が仕上がるか」を逆算する
正しい分析ができたら、次は逆算です。
入試の日から逆算して「何月までに何の範囲を仕上げるか」を設計する。これが、判定に振り回されない受験勉強の土台になります。
【逆算の考え方・例】
入試本番(2月)に合格圏内に入るために……
8月までに → 基礎固めを完了させる
10月までに → 応用レベルまで仕上げる
12月までに → 全範囲の演習を完了させる
だから「今月は基礎固めの時期」→ 判定が低くて当然、という見方ができます。
この見通しがあるかどうかで、受験生のメンタルはまったく変わります。
「10月はE判定で正しい。でも12月までに○○を仕上げれば判定はCまで上がる。そして入試本番には合格圏内に入る。」
計画通りに進んでいるなら、判定は後からついてくる。
これが、論理的に受験を戦うということです。
実例|10月までE判定だった生徒が合格できた理由
ここで、過去の教え子の話をします。
その生徒は、10月の模試でもE判定でした。
でも私は最初からこう言っていました。
「10月はE判定になる。それで正しい。」
なぜそう言い切れたのか。逆算した計画があったからです。
「10月までE判定」と宣言していた理由
その生徒の学習計画は、次のように設計されていました。
夏まで → 基礎固めに集中。模試の点数は度外視
10月まで → 応用レベルまで仕上げる。判定はまだE〜D
11月以降 → 演習・過去問に入り、一気に得点が伸びる時期
入試本番 → 合格圏内に入る
10月のE判定は、計画の中に最初から織り込まれていました。
驚くべきことでも、落ち込むべきことでもなかったのです。
それでも合格できた「逆算の設計」とは
合格の鍵は、「いつ・何を・どこまで仕上げるか」を入試日から逆算して設計したことにあります。
感覚で「苦手なところをやろう」ではありません。データをもとに、優先順位と時期を決めた。
その計画に忠実に動き続けた結果、11月以降から一気に判定が上昇し、本番で合格を手にしました。
判定が低い時期も、計画通りに進んでいるなら焦る必要はない。その証明が、この生徒の合格です。
今日の高3生に伝えたこと
今日の面談で、私はこう言いました。
「判定で一喜一憂しないで、冷静に分析してほしい。私が計画した通りに勉強を進めていけば、自ずと合格圏内に入っていくよ。」
これは根拠のある言葉です。
逆算された計画がある。仕上がりの確認ができている。だから言い切れる。
「今E判定でも、合格できる」 というのは、希望的観測ではありません。論理的な結論です。
保護者の方へ|お子さんの模試結果を見たときの心得
ここからは、保護者の方に向けてお伝えします。
お子さんが模試を持ち帰ったとき、最初に何を聞いていますか?
「何判定だった?」「点数はどうだった?」
気になるのは当然です。でも、その言葉が子どものメンタルを大きく揺さぶることがあります。
「E判定だった」と報告されたときの正しい反応
結果を聞いて、表情が曇ってしまう。その反応は、言葉以上に子どもに伝わります。
親が不安になると、子どももより不安になる。受験期の家庭の空気は、思っている以上に成績に影響します。
報告を受けたとき、ぜひこの一言を試してみてください。
「計画通り進んでる?」
点数や判定ではなく、計画の進捗を聞く。これだけで、会話の質がまったく変わります。
子ども自身が「そういえば計画通りだった」と気づくきっかけにもなります。
塾の計画を信じて、見守ることの大切さ
逆算された計画がある塾では、「今の時期にE判定」は想定内のことがあります。
それを知らずに「なんでE判定なの」と焦ってしまうのは、もったいない。
不安を感じたときは、まず塾に確認してみてください。
「今の判定は計画の範囲内ですか?」
この一言を聞くだけで、保護者の方も安心できます。家庭と塾が同じ方向を向いていること。それが、合格を引き寄せる一番の土台になります。
まとめ|判定に惑わされず、分析と計画で受験を制する
この記事でお伝えしたことを、最後に整理します。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| ① 判定を気にしない | 模試の判定は「今この瞬間の位置」に過ぎない。最終的な合否とは別の話 |
| ② 正しく分析する | 仕上がった範囲の正答率を確認する。全体の点数より、こちらが重要 |
| ③ 逆算で動く | 入試日から逆算した計画があれば、今の判定が低くても冷静でいられる |
受験勉強で大切なのは、判定への感情的な反応ではなく冷静な分析と計画への忠実さです。
E判定でも合格できる。それは特別なことではありません。正しい計画を、正しい順番で実行した結果として起こることです。
模試の活用や受験計画について、もっと詳しく聞きたい方はお気軽にご相談ください。
無料体験・学習相談のご案内
京大個別会 原町本校では、無料の体験授業・学習相談を随時受け付けています。
「模試の結果をどう見ればいいかわからない」「合格までの計画を一緒に立ててほしい」そんな方も、まずはお気軽にどうぞ。
無料相談・体験授業のご案内
この記事を読んで、もっと詳しく聞きたい方へ
京大個別会 原町本校 高等部では、無料の学習相談・体験授業を随時受け付けています。
まずはお気軽にご連絡ください。
執筆者
京大個別会原町本校 塾長 佐藤晃大